育休中に夫の転勤で大阪から東京へ
妊娠中もさほど悪阻がひどくなかった私は、その後もギリギリまで仕事をすることができました。産休に入ったのが夏で、秋に出産。産後に再び上の子を保育園に連れていくと、同じく育休中のママたちが「下の子の入園、いつにする?」「育休いつまで?」と話し始めたのを機に、のんびりしていた私も復帰の時期をどうしようかと考え始めます。
そんな時に夫から、「転勤かも」と一言。聞くと最初は「西日本か東京らしい」というなんともアバウトな答え。東京はまだしも、西日本てエリア広すぎるし…なんて戸惑っていると、まもなく東京行きが確定します。ひとまず私もその旨を職場に報告&今後の相談をした結果、東京の事業所もあるのでそちらに移籍という形で産後は復帰させていただくことが決まり、大阪のみんなに別れを告げて東京で新生活を迎えます。
さすがTOKYO。大都会。東京と大阪の文化の違いにドギマギしながらも、5月の半ばから始まった東京の新しい住まいから通える保育園をピックアップし申請手続を済ませました。しばらくすると区役所から中途の入園選考結果の電話がかかってきます。
上の子は無事入園。下の子はまさかの待機児童
「枠が空いていたので、9月からお子様の入園できます」という役所の方からの電話。しかしその続きは「ただし、下のお子様は入園できません。」…聞くと0歳児はただでさえ入園希望者が殺到しているので、中途入園はほぼできないに等しいとのことでした。きょうだいのうちひとりしか保育園に入園できないということは想定外だったのでどうしたものかと考え、復帰予定の職場に相談すると、あっさり「保育園入れるまで、子どもと一緒にきたら?」と。横になれるスペースを作っておくから寝かせておけばいいし、いつもは営業はほぼフロアにいないから無理せず自分のペースでやったらいいよと、まさに「神ってる」発言に救われ、上の子の入園(転園)を機に子連れ出勤生活を始めました。
けれど、ここは東京。以前のように車通勤というわけにはいきません。最初は電動ナシの子乗せ自転車でアップダウンの激しい道の中を保育園送迎(後に耐えられず電動自転車に買い換えました)、下の子はおんぶです。保育園に送ったら今度はギューギューの電車に乗って職場まで子どもを抱えて乗るわけです。寝ていればまだいいけれど、電車の中でぐずることもあり、気を遣いながら通勤することもしょっちゅうで、職場に着く頃はわりとヘトヘト状態で仕事をスタート。職場ではよくしていただけましたが、託児所ではないので、当然子どもが気になり思うように仕事もできずに気を遣います。そしてまた電車&自転車で帰路につくという日々に仕事以外の部分で限界を感じていましたが、その後、なんとか下の子を週に4日預けられる無認可保育園が見つかり、上の子と同じ公立に入れるまでは週に数日2ヶ所の保育園送迎、下の子を預けられない残りの日は子連れ出勤という日々になりました。
預け先の確保ができたことで比較的負担は減ったものの、それでも子連れ出勤の日は思うように仕事はできません。2カ所の保育園というのも想像以上にハードなもので、園までは歩くと遠いため雨の日もカッパを着て自転車でひとりずつ送迎です。おまけに下の子の保育園は子どもも私もどうも馴染めず、対応もろもろ正直あまり好ましくありませんでした。
ここへきて歯車が狂い出し、このままでは心も体もパンクしてしまうかもしれない…と思っていたら、そんな様子に気づいた職場の方が「制作は家でもできるし、起業してフリーランスとしてやってみたら?」と。そして、個人事業主として開業届を提出し青色申告すれば65万円まで控除が適用される云々を教えてくれました。それまで私の頭の中では働き方として「起業」という発想がなく、「起業ってそんな誰でも簡単にできるもんなの?」と最初はキョトンとして聞いていましたが、自宅で継続してできるなら、とやってみることにしました。
勤めていた会社とは、業務委託契約を結び、就労形態が変わりました。
出勤に伴う疲弊からの解放と節税対策のための起業
事業計画をしっかり立てたわけでもなく、今思えばあまり前向きな理由ではないので起業というのもおこがましいですが、当時の私はとにかく子どもの預け先確保が困難なことで生じた諸々の疲弊から解放されたくて開業届を出しました。2010年1月のことです。
普段はメールや電話でのやり取りで自宅で制作して細かい打ち合わせの時だけ職場に向かう仕事のスタイルに変わったことで、精神的にも体力的にも随分楽になりました。子どもが家にいる日中は思うように仕事が進まないこともありましたが、例えば寝かしつけた後など自分が集中しやすい時間をつくることもできたので、時間や場所にとらわれない働き方としては良い選択をしたと思います。
また、家で仕事をしていると子どもが私の働く姿を目にする機会があります。特に上の子は「これママが作ったの?すごーい」と覗き込んだり、自然と私のON・OFFを見分けられるようにもなり、時に急ぎの仕事で休日にPCに向かっていると「朝はママに時間あげるね。がんばって!あとであそぼうね」と泣けてくるような声をかけてくれ、子どもに仕事をしている姿を見せることで私が支えられていました。
そして春。1歳児からの入園枠も限られていて入園が厳しいと言われていますが、認可外の保育園に預けていたことが入園選考の際に加点された影響か、下の子も無事に上の子と同じ保育園に入園することができました。
ちなみに開業時に区役所に書類を提出すると無料で税理士から確定申告をするまでのアドバイスを受けられるサービスを案内されたので、私はすぐに申し込み活用しました。定期的に税理士に家に来てもらい帳簿の付け方やそのために日々やるべきこと、経費にできるものは何かなどを会計ソフトを使いながら丁寧に教えていただきました。最初は、「複式簿記」「借方・貸方」「貸借対照表」など聞き慣れない言葉にチンプンカンプンでしたが、このサービスを活用したおかげで確定申告をすることができ、お金を管理することの大切さを知りました。
空いた時間でスキルアップ。WEBスクールで技術を修得
春の入園前後の2回、下の子が病気で延べ2週間の入院生活を送ったので、「晴れてふたりとも同じ保育園に入園だー♪」という嬉しさよりも、春はバタバタとして心配で悩ましかった記憶の方が強いのですが、しばらくたってから再びいつもの感覚を取り戻しました。春までは子どもが家にいても無理のない範囲で受注していたのでこれまでと同じようなペースで仕事をしていると、だんだん時間に余裕ができるようになりました。そして同時期に、紙媒体の制作だけでなく今後仕事の幅を広げるためにはWEBのスキルを身につけようと思い、空いた時間を利用してWEBスクールに通い始めます。スクールでは基礎や実践を通じてWEBサイトを作れるようになりました。複数人数での授業でしたが個人レッスンもあったので、わからないところはたくさん質問をしました。
修了後は家でも仮のサイトを何パターンか作ってデザインやコーディングをしたり、既存の会社のHPにある事業内容を参考にしながら自分なりにコンテンツを編集して伝わりやすくするための練習を重ねたりしていました。
そんなときに、なんとまたまた新しい命を授かります(笑)。<③へ続く>